大震災後の就活(1) 何が起こっているのか?これから何が起きるのか?


■はじめに

3月11日に1000年に一度とも言われる大地震、東北太平洋地震が発生しました。
このたびの大規模な地震により被災されました皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。


想像を絶する惨状の中、今も大変なご苦労をされている方がたくさんいらっしゃいます。
その状況に対して個人としてできることの小ささに歯がゆい想いを感じつつ、今は自分にできることをやるしかないと思う日々です。


以下、大震災の中で優先順位がやや低い話にはなるかと思いますが、
私自身の「今自分にできること」の一環であることをご理解ください。



■大震災後の就活

前エントリで書いた就活の話の続編を書かねば・・・と思っていたのですが、今回の大地震を経て状況は激変しました。今年の就活生は突如、過去に例を見ない特殊な就活環境に追い込まれています。



1:何が起こっているのか?


では実際今、就活には何が起こっているのでしょうか。


人材コンサルタントの常見陽平さんのblog「就活の栞」の記事では、HRプロ株式会社による調査の速報値として、

1位:選考時期全体を遅らせることを検討 35%
2位:選考時期は変えない 24%
3位:被災者の地域のみ特別に選考時期を遅らせることを検討 18%


というデータを掲載されています。
残りの23%は「どちらともいえない」として方針が未決定ですが、仮にこれらの企業の半分が選考を見直すとすれば、約64%もの企業が選考の見直しを行うことになります。


では、どのような見直しがすでに進んでいるのでしょうか。
上記にもあるように見直し方針は大きく2つです。


(1)選考時期全体を遅らせる(または長期化させる)
(2)被災者の地域のみ特別に選考時期を遅らせる


当初は(2)のパターンの企業が多かったようですが、次第に(1)のパターンの企業が増えているようです。
リクナビの地震対応に関するページ上や各企業のHP、各種ニュースサイト(主に日経web版を参照)から知り得る情報の一部を紹介すると以下のような状況です。就活生にも人気のある企業が軒並み、就活生全員に対する選考延期を打ち出しています。


◆メーカー
トヨタ自動車(選考を6月以降に)
パナソニック(選考を6月以降に)
・シャープ(選考を6月以降に)
富士通(選考を6月以降に)
東芝(選考を6月以降に)
日立製作所(選考を6月以降に)
キリンビール(選考を6月以降に)
サントリーホールディングス(選考を6月以降に)
山崎製パン(選考時期を変更)
新日本製鉄(選考を6月以降に)
IHI(選考を6月以降に)
・ジョンソン&ジョンソン(選考を延期)


◆金融
三井住友銀行(選考を5月以降に、夏採用も行う)
大和証券グループ(選考を5月以降に)
日興コーディアル証券(選考を5月以降に)
第一生命保険(選考を5月以降に)
東京海上日動火災保険(選考を5月以降に)
・損保ジャパン(選考を延期)
日本郵政グループ(適性検査締切を延長)


◆商社
三菱商事(選考を延期)
三井物産(選考を6月以降に)
住友商事(選考を6月以降に)
伊藤忠(選考を6月以降に)
双日(選考を6月以降に)
・丸紅(選考を6月以降に)


◆その他
日本IBM(選考を6月〜7月まで延期)
・ベネッセ(選考を6月以降に)
電通(選考を大幅に延期)
・そごう、西武(3月の説明会は中止、選考再調整)
・イオン(説明会を延期)
ユニクロ(東京・東北で延期)
マルハン(東京・札幌で延期)
楽天(4/4まで一旦選考を中止)
リクルート(1週間程度延期)


※情報の更新・記載ミスも十分あり得ますので、必ず各企業の採用HPなどを確認してください。このブログの情報のみでの判断には責任を負いかねますのでご了承ください。


以上は、ネット上で急いで集めた情報に過ぎません。
問題の当事者である就活生や採用担当者の皆さんは、もっと情報をお持ちの方もいるかと思います。そのような情報については今回まだ収集できていない点、ご留意ください。


★被災地の学生さんへの対応について★
上記の企業は全ての学生さんを対象にして選考延期を決めている企業ですが、他の多くの企業も被災地の学生さんに限定した形で特別な措置を講じる予定になっています。
(震災直後に酷い対応を打ち出した某企業がネット上で叩かれたことが功を奏しているように思います)


ですので、被災地の学生さんは、今は身の回りのことに集中してもらえればいいのではと思います。
それに、被災地の学生さんに配慮しない企業は
(1)そもそも被災地のことを考えていない企業
(2)被災地のことを考えた上で、切り捨てやむなしと思っている企業
のどちらかだと思いますので、私からすれば「そんな企業こちらからお断り」でいいと思います。


ですので、被災地の方には、ご自身のこと、ご家族のことを優先してほしいと思います。
その一方、5月には延期された選考が始まり出しますので、4月中には日常生活に支障がない地域に移動できるよう、手配を進めておくのが良いかと思います。



2:これから何が起きるのか?


では、選考延期が進むことで何が起こるのでしょうか。
以下のようなことが考えられます。


(1)就職活動が長期化する
採用スケジュールの後ろ倒しが起こることは確実です。
6月から選考をスタートする企業の場合、7月や8月まで選考が続くことも十分あり得ます。
これにより、学業に集中できない状況が長期化するだけでなく、公務員試験や教育実習を両立することが難しくなる恐れがあります。
地方の学生さんは金銭的な負担も増えることでしょうから、特に大変です。


(2)選考時期が3パターンに分かれる
今回の選考延期は会社によって対応が分かれるため、
A:選考を予定通り4月に開始する企業
B:選考を5月以降にする企業(主に金融系)
C:選考を6月以降にする企業(主にメーカー、商社系)
の大きく3つのパターンが出てきます。


そのため、例年よりスケジュールの重複が減り、より多くの企業の選考を受けることができるようになる一方、いつまでも就活のピークが続くことでタフな生活を強いられる場合があります。
また、6月以降の会社の選考を受ける前に内定をもらっても就職を決心できない学生さんも多いでしょう。逆に内定辞退者が多くなるため企業は内定者数の再考を求められます。


(3)そもそも採用計画が見直しになる可能性がある
今回の延期は学生以上に、企業に対して時間の猶予を与えます。
もちろん現時点では緊急対応で採用どころではないという企業が多いと思いますが、4月〜5月にかけては今回の大地震の自社への影響を考慮した上で、採用計画を見直す時間は十分にあるはずです。
具体的には採用数と採用基準(求める人物像)の見直しが起きるのではないでしょうか。


採用数は変わらないか、減るかのどちらかしかないでしょう。
災害による損失が大きい企業、来期の利益が減少しそうな企業は採用数を減らす可能性が考えられます。
(私はそれは適切な経営判断だと思います)


求める人物像については、より「自立・自律した人材」を求める傾向が高くなると思います。
これは4月から入社する新入社員に最も言えることですが、各企業の様々な部署が「新人を育てている暇などない」という状況になっている中、新人および内定者には「自分で学び、考えて、動く」ことが求められます。
ですから、12年4月入社となる今の就活生にも、同じことが求められる傾向が強まると思います。
おそらく入社する頃には地震の影響も落ち着いてはいると思うのですが、現在の採用官(特に現場から出向している人)への意識面での影響が大きいと私は考えます。



とりあえず現状では上記のようなことが考えられるのではないでしょうか。
企業の採用担当者の方、就活中の学生さんでこの記事読まれた方いらっしゃれば、ぜひご意見や情報をいただけると幸いです。


明日、明後日までには「じゃぁ、学生はどうすればいいのか」についても私なりの考えを書いてみようかと思います。
私もなにげにM1ですので、周りには就活をしている学友も多くいます。ですので、就活問題は他人事とは思えないところがあります。
答えがなく、かつ緊急度が高い問題ですので、私なりに情報提供できればいいなぁと思っている次第です。


では、また。



※記事更新履歴
楽天の選考延期時期を更新(3/19 22:56)